立教大学探検部

極限X(2012年)

ギンマット・E・テンバー Jr.(合宿評論家) 2012年5月
 ロック史に残る名盤として、誰もが知る極限シリーズ。
 だが君は知っていただろうか。極限シリーズの影には、アルバムには収録されなかった無数の試行錯誤があったことを――。

 極限シリーズのアウトテイク――使われなかったテイク、アレンジや歌詞がかたまる前の試作品、事情があってお蔵入りとなった作品などを、 関係者をあたって発掘・収集していく作業は、父ギンマット・E・テンバーから私に引き継がれた重要な仕事であり、また果たさねばならない使命でもあった。
 そしていま、収集作業もひとくぎりついたと判断した私は、これまでの収集物を「極限X」として発表することにしたのだった。 もちろん「X」はボツ曲を表す「バツ」ではない。無限の未来に続く未知数の「エックス」である。

 私事で恐縮だが、「極限3」がリリースされた年に生まれた私の息子、ラジウス・E・テンバーも、今年大学生となった。 むろん探検部に強制入部させたものの、彼は自分の名前の由来となったラジウスを、もはや見たこともない世代だ。 それどころか我々世代にとってのゴムボートの代名詞、ブラックタイガーすらも知らないという。
 時代の変化にさびしさをおぼえつつ迎えたゴールデンウィーク、合宿に行く息子を見送ったときのことだ。
 「では息子よ、気をつけていくのだぞ」
 「うるせーな、毛虫も食わねーぜ!」
 よどんだ目をして出て行った息子のセリフに、私は時代が変わっても変わらず受け継がれていく極限のこころを感じたのだった。
 「……ちげえねえ、あーはっはっはっはっ」
 荒れ模様の空に熱い涙をこぼしながら、私はただ笑い続けるばかりだった。

詞:部会にて決定 / 曲:ナメキ / 1993年
(イントロダクション:旧部歌)

アマゾン河に落ちれば 二度と這い上がれない
だけど現地の人々は 水を浴びている
「危ない!」
襲いかかるピラニアの群れ これが自然のオキテなのか
人間よ 自然に学べ ウォォォ!

幹部が作った男闘呼汁 エキスのおかげか 暖まる
「先輩ありがとう」「先輩大好き」入ってよかった探検部
「先輩ありがとう」「先輩大好き」入ってよかった探検部
立教!

吸血ヒルに吸われて 仲間が死んだのさ
疲労のためかウトウトと しだしたその時だ
「ん? ケモノのニオイがする!」
思いがけぬ野獣の群れ とっさにオレ ナイフ抜く
人間よ オレに学べ ウォォォ!

幹部の注いだ男闘呼酒 なぜだか泣きながら あと一杯
「先輩ありがとう」「先輩大好き」入ってよかった探検部
「先輩ありがとう」「先輩大好き」入ってよかった探検部

ときめききらめきセンセーション 僕らのハートをわしづかみ
「先輩ありがとう」「先輩大好き」入ってよかった探検部
「先輩ありがとう」「先輩大好き」入ってよかった探検部

部歌のファーストテイク。みんなで歌うための部歌なのに、音域が高すぎて誰も歌えないという欠陥が、録音の段階になってようやく認識されたもよう。
詞/曲:つるを / 1994年
言葉にできないトキメキを 歌にしてオマエに捧げよう
Oh Darling, Ok Darling こっそりキミだけに
はじめて会った日からオレはもう キミだけに首ったけ
Oh Darling, Ok Darling 愛するキミだけに
ほかのやつらにはわからない オマエだけに伝えたい
Oh my sweet boy いつまでも
Oh my sweet girl どこまでも
Oh my sweet boy 愛するキミだけに

ほかのやつらにはわからない オマエだけに伝えたい
Oh my sweet boy いつまでも
Oh my sweet girl どこまでも
Oh my sweet boy 愛するキミだけに

つるをが男目線の歌詞を歌っているバージョン。ここからどうやって高倉版の女の子目線の歌詞に変わっていったのか、変化が楽しめるよう動画には高倉版の歌詞を入れてある。
詞:つるを / 曲:ハルヲ / 1993年
吹雪舞う 冬の山小屋で
君は凍り付いていたね
オレの熱く火照った体で
早く・強く・熱く 暖めてあげよう

白い雪と桃色の君
赤く燃える俺の血潮
すべて忘れて とろけた体を
早く・強く・熱く 混ぜ合わそう
「おびえないで」(ウォンチュー)
「近寄らないで」(ドンチュー)
「早くおいでよ」(ウォンチュー)
「わたし怖いの」
すべてを忘れ 燃え上がるのさ

もれた息と熱い汗が
雪を溶かしつくすほど
君のぬれた 体の中まで
もっと・深く・深く 感じあおう
「怖がらないで」(ウォンチュー)
「怖いに決まってる」(ドンチュー)
「燃え上がろうぜ」(ウォンチュー)
「熱くなりたいワ」
ふたりでもっと 燃え上がるのさ

遭難した冬山で生き残ろうとする生への執着とともに、そんな危機ですら性的にエンジョイしようとする性への執着も感じられるナンバー。そのファーストテイク。
詞/曲:つるを / 1994年
黒猫が通る オレの前を通る
夢にも出る 毎晩出る
黒猫は不幸のしるし デビルだって真っ黒さ
ブラックキャット ホワイトキャット
だけどお前たち 迷信を信じるな
オレが黒猫を白猫にしてやるぜ

ブラックキャット ホワイトキャット
だけど迷信を信じるな お前たち
オレが黒猫を白猫にしてやるぜ

いっしょうけんめいデスボイスを出そうとするが、のどが痛くて声が出ない。そんなありさまが楽しめるファーストテイク。
詞/曲:つるを / 1994年
生活にあきたら 外へ飛び出そう
古代史のあしあと 探してみようぜ
古代史大好き 一度はいかが

古代史に飽きたら何をしようか
ギターを抱えてブルース歌おう
古代史ブルース 悪くはないぜ

プログレ超大作「JAPAN=JEWIST」の⑨章に当たる古代史ブルースのファーストテイク。
動画に入れた最終テイクの歌詞と比べればわかるように、このファーストテイクの段階でのつるをは、古代史に飽きたら何をするか考えるような「ゆるい」状態にあった。それが最終テイクでは、ユダヤ人渡来の証拠が「信じれば見つかる」、つまり「見つかってないのに信じる」という状態にまで進行している。
ピンクフロイドのロジャー・ウォーターズは、この曲をアルバム『狂気』に収録する予定だったとも言われている。
Improvised by ハルヲ&つるを / 1997年
感情のままかき鳴らしたギターをすべて録音、そこからよさげな部分だけを選び出して曲として収録する――。地引網であがった魚をより分ける漁協の人みたいなやり方で、「極限4」の1曲目は作られていたことがわかる素材テープ。
詞:マツ / 曲:つるを / 1997年
街の明かりを踏み潰す俺のキャタピラー
右手はそのままマシンガン 左手は刀
ドクロタイガー ゴムの巨人 俺一人では手に負えぬ
友情パワーを取り戻せ
足立(合体)小犬顔
塩田(合体)メカ胸毛
トミーも合体 壊れたハート
俺の名はマツ 風来マシーン
愛を求める夢追いマシーン

(セリフ)
しゅ、出撃せよ……
あった方がいい……
ドクロタイガー23センチ……ドクロタイガー出現……
スーパーロボ「マツ」出撃……

俺の名はマツ 風来マシーン
自己を見つめる夢追いマシーン
女囚ドクロは 魔性のオンナ
俺は密かに愛しているのさ

つるをによる仮歌。こんなふらついた音程で仮歌の役目が果たせるのか、疑問は残る。中盤のセリフも固まってなく、まるで寝言かうわごとである。
詞:塩田(協力:足立)/ 曲・編曲:つるを&塩田 / 1997年
暇と金を持て余す
バブルが忘れた身なし子達よ
同じかっこで同じ場所
同じ事するWork holic
日にちと行き先曖昧で
安い買い物出来ればいい
注文多くてオプション付けて
挙げ句の果てに Change mind
こんな時ほど腕がなる 月のマグマでラフティング
伊達に資格は持ってねぇ 俺が開けるぜ Risky door

両手はバッグで首からカメラ
大金ばらまくOL達よ
お湯が出ないとクレームつけて
眠る暇なく Hard work
道の真ん中で地図を広げて
ビルを見上げてモンローウォーク
一期一会を真に受けて
ゆくゆく果てはDangerous
こんな時ほど腕がなる 月のマグマでラフティング
伊達に資格は持ってねぇ 俺が開けるぜ Risky door

極限4収録の最終バージョンと、歌詞もサビのメロディーも同じなのだが、ずいぶん印象が違う。マドンナやシンディー・ローパーみたいな、80年代MTV的テイストがあるというか……。元はこんな曲だったか。
詞:トミー / 曲:つるを / 1997年
いつから苦しみ出したのか 何が苦しませるのか
精神(こころ)を忘れちまった 大きく狂ちまった
資本主義がルーザーだ
アンビバレンス アンビバレンス アンビバレンス

資本主義(カイブツ)が苦しみ出した
資本主義(カイブツ)が苦しませた
古老(レーニン)を忘れ去った
イデオロギーはどこにある
先の見えない航海さ
キルマイセルフ(キルミー) キルマイセルフ(キルミー)
キルマイセルフ(キルミー)

アカのバスに乗らないか 取り戻そうぜ精神文明
アカのバスに乗らないか 築き上げろ理想郷(ユートピア)

ボーカルラインをシンセで弾いているので、スーパーなんかで流れるBGMにも流用可能である。この曲を聴きながらタイムセールのタマゴに群がるような資本主義的な行動に走れば、まさにアンビバレンツな体験ができるだろう。
詞:女神 / 曲:つるを&ハルヲ / 1995~1997年
それは超古代といわれる程の昔
はるか南の島に巨人が住んでいた
巨人はといえば狭い額長い耳
高く大きな鼻薄い唇
深く窪んだ目をしたモダヤ人

男は鯨に乗り海に出る漁師さ
女は赤い帽子で島を守り続け
争いを知らず
情け深い清らかな人種だったさ
(平和と秩序のギターソロ)

ある日島の真ん中で 小さな子が産まれた
巨人は神の子と祝い 大切に育てた
平和で楽しい暮らしのはずだった

ところが島の神様こう言ったのさ
「神は私一人で十分さ」

極限4収録の最終版とは後半の歌詞が異なっている。また各サビの終わりで、しめくくり感を出そうとして迷走したのか、やけくそのようなディレイがかけられているのもききどころ。
曲/詞:つるを / 1995~1997年
「極限4」収録の「モダヤ人」の「第三幕」の「第4楽章」「第5楽章」「第6楽章」の「聖戦 Part 1」「聖戦 Part 2」「聖戦 Part 3」の素材(あー、めんどくさい!)となった、ギターやシンセのインプロビゼーション。後にナメキは、このテープを切り刻んで「密造酒の作り方」のバッキングにこっそり再利用している。
曲/詞:CAPPY(みほ&ちぐさ)、編曲:つるを / 1996年
サル ゴリラ チンパンジー サル ゴリラ チンパンジー
サルそしてサル これもサル あれもサル

逃げ出した2匹のサル 気田川 竹だけ川下り (ウッキー)
歩いたのはせいぜい10キロ あとはもちろんヒッチハイク
ここらで降ろすど 決心の色に バカ面で答える
もっと先行って
分からないのか (分からないねぇ)
気付かないのか (気付かないねぇ)
だってサルだもん だってサルだもん
だってサルだもん (イエェイ)

いきこんだ2匹のサル 今度は本番がんばるぞ (ウッキー)
竹を切ったのせいぜい3本 あとはもちろんチェーンソー
ここらでやめるど (やめるど) 決心の色に バカ面で答える
もっと竹切って
分からないのか (分からないねぇ)
気付かないのか (まだまだ)
だってサルだもん
だってサルだもん
だってサルだもん

ありがとう山下さん内山さん
モーターズ井堀の仲間 (ヤキソバ)
ありがとう森下さん松本さん
区長さんとその手下 (インド産のトロ)
分からないのか (分からないねぇ)
気付かないのか (まだまだ)
だってサルだもん
だってサルだもん
だってサルだもん

分からないのか (分からないねぇ)
気付かないのか (まだまだ)
だってサルだもん
だってサルだもん
だってサルだもん
だってサルだもん
だってサルだもん

つるをによる仮歌。この後CAPPYたちが歌って最終テイクとなるのだが、その際、サル対サルの対話シーンや、「イヤッホー」「ルルルヤー」などの奇声が嫌というほど挿入された。中学生の頃、始業ベルが鳴ったのに私語がやまない時、先生が「お前ら動物園か!」と怒っていたが、その気持ちがよくわかる。
詞:足立 / 曲:足立&つるを / 編曲:つるを / 1996年
中間地点のアザラシ岩
僕らにラフトを教えてる
ゴール地点の2匹の黒猫
アイツら僕らのホッカイロ

金曜昼間は部会の時間だ
時間に遅れず Take part in
合宿前の装備チェックだ
便所でトイペを Get it on

真夜中の宴の後悲しく横たわる
俺は煙草をふかしヒビ割れたパドルを見ている

釧路 馬淵 最上 最上 阿武隈 秩父 御岳 大井 長良 リバベン
川内 四万十 (うらうち) 吉野川

出発前の心ピチャはしたか
バルブは閉めたか Check it out
ドリフト地点の荒れ狂う波
流れと一緒に Here we go! go!

中間地点のアザラシ岩
僕らにラフトを教えてる
ゴール地点の2匹の黒猫
アイツら僕らのホッカイロ

いまの現役生の間でも人気が高いという「川のうた」。そのアコースティックバージョンのファーストテイク。時代の荒波を超えて最終的に生き残ったのがアダチ系の曲だったとは、その当時誰が予測できただろうか。
詞/曲:つるを&ハルヲ / 1996年
深夜になれば酒屋も閉まるMidnight
暗闇に包まれ猫が吠えるDarkness
こういうときこそマグマは吹き出す
持ち出せ金塊 捨て去れ札束
こういうときこそアクマがうごめく
ささやく天使を閉じ込めろ
アクマの声を聞くことが出来るのは俺だけ
飛べ我らの DREAM SHUTLE

ハルヲのボーカルもつるをのギターも、なんかいろいろ模索中のファーストテイク。
詞:つるを / 曲:ハルヲ / 1996年
俺は何故 漢字以前に文字は無いと思うのか
俺は何故 古代文字の存在を信じないのか

(セリフ:聞き取り不可能)

アイアイアイアイ Ancient Letters あと一文字で解読しそう
アイアイアイアイ Ancient Letters 死にそうさ One more chance

君はもう 漢字以前に文字は有ると信じたのか
君はもう 古代文字の存在を信じこんだのか

アイアイアイアイ Ancient Lady あと一息で発見しそう
アイアイアイアイ Ancient Lady 倒れそうさ No more chance

竹内家には桃木文字 対馬にはアヒル文字
富士山には宮下文字 他にもあるある神代文字

アイアイアイアイ Ancient Letters あと一文字が見つからない
アイアイアイアイ Ancient Letters もう少しさ One more chance

薩摩にはホツマ文字 アイヌにはフゴッペ文字
京都にはイムベ文字 まだまだあるある神代文字
全国にはサンカ文字 「上記」にはトヨクニ文字
彦島にはペトログラフ 出雲にはアヒルクサ文字

カオス感あふれるアレンジが、いま聞いても新鮮な「古代文字Special」。このファーストテイクでは、最終テイク以上のカオスっぷりが楽しめる。
詞:E島&マヤ&3年生 / 曲:つるを / 1997年
豊富な知識と豊かな感性で
迷える僕らを不思議な世界へ
合宿中は冷静な判断
飲み会ではちょっと怖いけど

アー(イカした)4年生 We miss you
アー 4年生 たまには顔見せて

陽気な笑顔と巧みな話術で
いつでもキャビ前は僕らのオアシス
いじめられてもけなされても
なぜかうれしく 暖かい

アー(イカした)4年生 We love you
アー(とびきりの)4年生 愛をありがとう
アー(すばらしい)4年生 We miss you
アー(大好きな)4年生たまには顔見せて

最終テイクと違い、このファーストテイクの時点ではストレートな4年生賛美が並んでいる。下級生が自発的に作ったといいつつ、そこに4年生からの圧力があったことは明白である。
詞:E島&マヤ&3年生 / 曲:つるを / 1997年
行かないで4年生 We miss you
アー 4年生 たまには顔見せて

探検という名の禁断の果実を
上手に料理しておいしく食べたね
時にはおなかも下したけれど
愛と勇気が解毒剤
アー 4年生 We miss you
アー 4年生 たまには顔見せて
入った時には真っ赤なコミュニスト
出て行く時には桃色のリアリスト
それがこの部の通過儀礼
でもロマンはなくさないで
アー 4年生 We love you
アー 4年生 社会に埋もれないで

アー 4年生 しがらみ脱ぎ捨てて
アー大好きな4年生 いつでも顔見せて

アー 4年生 We love you
アー 4年生 社会に埋もれないで
アー 4年生 しがらみ脱ぎ捨てて
アー 4年生 いつでも顔見せて

つるをによる仮歌。このセカンドテイクではメロディーが大幅に変わった他、歌詞についてもテコ入れがあったのか、ストレートな4年生賛美は姿を消した。
詞:足立 / 曲:足立&つるを / 1997年
金曜昼間は部会の時間だ
時間に遅れず Take part in
合宿前の装備チェックだ
便所でトイペを Get it on

真夜中の宴の後悲しく横たわる
俺は煙草をふかしヒビ割れたパドルを見ている

釧路 馬淵 最上 最上 阿武隈 秩父 御岳 大井 長良 リバベン
川内 四万十 吉野川

出発前の心ピチャはしたか
バルブは閉めたか Check it out
ドリフト地点の荒れ狂う波
流れと一緒に Here we go! go!

中間地点のアザラシ岩
僕らにラフトを教えてる
ゴール地点の2匹の黒猫
アイツら僕らのホッカイロ

アダチ系とコムロ系の融合を目指した実験的作品。リリースにあわせて開催された「A(アダチ)ナイト in 水上」というパーティーイベントには、ギネス記録となる10万人の参加者があった。
「あの頃のアダチさんは、もう止められないっていうか、まじパなかったっス」とは、共作者の DJ TSURUWO の話。
詞:女神 / 曲:ハルヲ / 1995年
いつも一緒だったね 休み時間も放課後も
あゆみも彼が好きだったから 仲良くなれた

あの時あゆみは彼の隣にいたから まわりに誤解されちゃったね
わたしもすっかり思い込んで 何も話さず卒業したね

あの頃は子供だったね いま思うと笑っちゃうほど
本当のことを聞くことをも 告白さえもできなかった

ねえあゆみ あゆみ 一緒に遊びたいね
あゆみ あゆみ わたしはここにいるのに

今ならいえる 昔より大人になったから
ごめんといえる

1995年、4TRカセットMTRを手に入れたばかりのつるを家に、たまたま遊びに来たハルヲ。つきちゃんが書いた詞をめざとく見つけ、早速曲をつける。試行錯誤しながら多重録音を行ってる様子が良く分かる、まさにお手本のようなテイク。
いま思えば、極限史上、ナメキ色を排除した始めての録音であった。
また、OGの小林あゆみはこの曲を聞いて涙を流したと伝え聞いてる。
曲:ハルヲ / 1997年
高校生の時、なけなしのお小遣いでどのCDを買うか迷った挙句、ジョージ・ハリスンのソロアルバムなのに無名の『電子音楽の世界』を思い切って購入、ドキドキしながらプレーヤーにかけたその1分後に味わった気持ちを思い起こさせてくれる曲。
その翌月、「ドイツ発・サイケとテクノとプログレの融合!」というアオリ文句に釣られてタンジェリンドリームの『リコシェ』を買った時も、やはり同じ気持ちを味わった。
詞/曲:つるを / 1997年
あの街のどこかで ふたり出会ってから
ふたりの時計は 同じ時きざむ
こうして歩いてきてたどり着く
この街で誓おうよ

君と朋に輝こう
ふたりで 一緒に歩こうよ
いつまでも
どこまでも

少し早い春の 日差し差し込んで
ふたりを明るく 照らし続けてる
そうして同じ道を歩き出す
旅立ちの鐘が鳴る

君と朋に輝こう
永遠の誓いをいつまでも
いつまでも
忘れずに

ふたりで分け合おう
一粒の光を おお
朋に輝き続けるよ
いつまでも
ふたりで分け合おう
一粒の光を おお
朋に輝き続けるよ
いつまでも

当時「静かに始まって、サビでドカーンとくる」曲に凝っていたナメキ。自分の曲(これとかこれとか)だけでは飽き足らず、つるをの曲もそういうアレンジにしはじめた。それがこれ。
しかしつるを側はこのようなアレンジを「感動の押し付け」として強く拒否。そのせいかお蔵入りとなった幻のナンバー。
詞/曲:ナメキ / 1997年
高尾山で最近浮浪者が野性化
狩猟採集しながら独自の文化築く
浮浪者達はどこから来たのか
そしてどこへ行くのだろう あーあー

摩周湖のほとりに流れついていた
ザリガニの甲羅 しかし大きさは2m
巨大ザリガニのさまよえる湖よ
その水面に何を映すのか あーあー

信じられないが本当のことなんだ
確かな情報を入手したのだ
信じてるだけでは 解けない謎だから
だから出した計画書なのだ Yeh!

そして僕らはいま旅立つ(自然の仕掛けたワナの中へ)
そして世界は変わっていく(謎の扉を開くたびに)
マーボのこぼれた銀マに 凍えた身体を横たえて
明日の謎を夢見てる

去年から御嶽の上流のダムの上で
突然吹き出す水 目撃されている
御嶽で今何が起きようとしているのか
それは人類への警告か あーあー

長野県小諸の麦粒のような地層
掘り出せば食べられる それは謎の生き物
暗黒世界に息づき続ける
この地球の真の支配者よ あーあー

君のためだけに立てた企画なんだ
君の心の叫びが届いた
僕一人だけでは解けない謎だから
だから書いた君の名前ここに Yeh!

そして僕らはいま旅立つ(自然の仕掛けたワナの中へ)
そして世界は変わっていく(謎の扉を開くたびに)
上級生への憎しみ ボートの重みで抑えこみ
はるかな謎へ歩いてく

「果てしなき探検世界」のカラオケ。「文化築く」とか「2メートル」の部分のシャウトが難しいと思うが、がんばって歌ってみよう。
詞/曲:ナメキ / 1997年
みなみの島から(やしの実が)
ぷっかりぷかぷか (やってきて)
大きな葉っぱをつけました
朝からお昼寝楽しいな
なまけものの島だ おーおー

そしたらなまこが(やってきて)
昼寝をしようと(思ったが)
まくらをしく時かんがえた
どちらが頭か分からない
かいがらのまくら おーおー
白い船が島を目指して 帆をあげる
南風を探し当てたら出発だ
ずっと前になくした地図をたどる旅

そんな夢を見る(僕のねこ)
風がゆらすひげ(起こさないで)
おおきなあくびで立てたしっぽ
ちょっとゆすって起きちゃった
背中のばして歩き出す
ある日ねこは遠くの街へ行っちゃって
そして二度と僕の家には帰らなかった
きっと何か大事な用があったんだろうね

またいつか知らない街で会えるよね

人は誰しも心の中になまけものの島を持っている。納期が迫っているのにどうしてもやる気が起きない時は、その島で、小さい自分がなまこと一緒にひるねしているのである。無理に起こさないよう、小さな声でこの歌を歌ってあげよう。
病める現代人のためのララバイ。
詞:ナメキ(協力:つるを)/ 曲:ナメキ / 1997年
そこのお嬢さん
ご機嫌ななめの5-6の昼下がり
お出かけなんていかが
うきうき御嶽のどきどき川下り
ゴムぼっちがぷかぷか
さあ1、2、3でこげば
くるくるまわって前に進みやしない
まるで僕らの恋みたい
空に浮かんだ白い雲と雲が
風に吹かれてキスしてるのさ
そうさ一番好きな人は
きみなのさ

何をながめてるの
ふくれっ面した窓際の天使
お天気もサイコーだし
どうですオソロのつなぎで樹海でも
僕の確保で 降下する君は
すばやくプリティー完璧ラブリー
グッときちゃうよマイハート
一目ぼれしちゃうよ
僕ら見つけた光のかけら達
ハート型した出口に続く
そうさ一番好きな人は
君なのさ
愛してる

渋谷で人気の高い探検ソング。渋谷のギャルが使う「激おこプンプン丸」や「ガチしょんぼり沈殿丸」も、もともとは立教のブラックタイガー各艇の船名だったことは意外に知られていない。
曲:ドビュッシー / 編曲:ナメキ / 1997年
もともとインストの曲をさらにカラオケにしてみた。好きな歌詞をつけて歌ってほしい。ドビュッシーも草葉の陰で喜んでくれるだろう。
詞/曲:ナメキ / 1997年
ねこみたいにひげが のびてきたなら
おさかなたくさん 食べれるかな
雨降り街の 雨降りねこに
今日はなりたい気分です
だけれどもかえるの天気予報では
あしたはお陽さま会えるはずさ

食べないたまごいくつもゆでる
いまはそんな気分です
でもお天気ねこのあしおと
ほら気がつけば 雨もあがってる

まあるいどんぐりを探しに行こう
ポケットに入れたら音がするよ
雨降りねこがお外をみてる
僕はどこにも行けないの?
でもお天気ねこのあしおと
ほら気がつけば雨もあがってる

詞/曲:ナメキ / 1997年
まぶしい朝の陽が 目玉焼きのフライパンに
あふれて しまいそう
魚にエサあげて ネクタイきゅうと締めたその時に思った
御嶽のテン場で マーボなすが食べたい
別においしかないんだけど

街角 カフェテラス ニューズペーパー読みながら
彼女を待ってた
彼女が手を振って 駆けよりかけたその時に思った
小袖のテン場でラジウスを焚きたい
別に意味はないんだけど
もう一度でいいから合宿に行きたい
それはかなわぬ願いなのか

仕事で行き詰った時は、会社のトイレで泣きながらこの曲を歌おう。みんなやさしくしてくれるかもよ。
詞/曲:不明 / 編曲:ナメキ / 1997年
野生の馬 野生の馬 野生の馬は
走り去る 尾をなびかせて
筋肉の躍動 躍動胸に
どこまでも どこまでも 駆けてゆく
夏の嵐の中を イナズマに向かって
イナズマに向かって オーオー オーオー
野生の馬 野生の馬は
どこまでも 駆けてゆく

ある時馬は立ち止まる
自然の不思議感じてか
目をつむり 銅像のように 動かない

野生の馬 野生の馬は
どこまでも 駆けてゆく

ナメキの歌に対して「メロディーが間違っている」という批判があまりに多いため、カラオケにしたもの。みんな好きに歌うがいい。
詞:ありよっち / 曲:ナメキ / 1997年
かわいた心の白さに焼き付けた
きのうと違った景色をうけとめる
月夜が 照らし出す
壊れた風見どり
このまま くるくると
時間の川のなか
あまい夜かぜにそっと吹かれて
波の音だけ聴いていたい
星を数えて 雲をたどって
朝の風おとひびくまで

目を閉じて息をととのえ
さあ行こう道はあるよ
にじのかけらも 見つかるさ
さあ歩き出せ

今でも月のひかり見て思い出す
窓辺でひそかに流れるオルゴール

広い大地に身体しずませ
遠い汽笛を聞いていたい
雨に打たれて 雪に埋もれて
春の陽射しが 照らすまで

目を閉じて 息をととのえ
さあ行こう 道はあるよ
にじのかけらも見つかるさ
さあ歩き出せ
さあ歩き出せ

ありよっちが詞を書いた曲。耽美的な歌詞がサビでとつぜん永井真理子風になるところは、リリース当時大きな論争を呼んだが、今はすべてを忘れ平和的に歌いたい。
詞/曲:ナメキ / 1993年
オレの目の前で荒れ狂う 東シナ海
かりゆし丸の甲板で うなれオレのギタァ
着いたぜ那覇に とっても暑いぜ
そうさここは南西諸島さ

御嶽(うたき)の森を調べたら
オバアに叱られた
オジイの系譜を調べたら
女元祖(いなぐがんす)だった
着いたぜ那覇に とっても暑いぜ
そうさここは南西諸島さ

御嶽(うたき)の森を調べたら
オバアに叱られた
オジイの系譜を調べたら
女元祖(いなぐがんす)だった

スバらしいな 南西諸島学会
いいヒトばかりさ 南西諸島学会

めんそーれ!

ナメキが大学4年の時、沖縄のことを研究する「南西諸島研究会」のために作った曲。そのカラオケ版。
詞/曲:ナメキ / 1993年
グラスの底に おもかげ写し
かじっています 苦いにがうり
笠やん 笠やん 涙がぽろり
今夜もひとり 八重山の女

「南西諸島研究会のうた」を研究会の主催者のK先生に聞かせたところ、「こういうのは好かん、演歌がいい、古賀メロディーがいい」といわれたため、勉強して作り直してきたもの。後に「南西諸島研究会のうた」のカップリング曲としてリリースされた。
詞/曲:ナメキ / 1997年
僕らは望む他者が望むものを
そして始まる闘争が充足不可能な欲望を生む

そんな模倣欲望(ミメーシス)が 資本をまわす
全ての矛盾は周辺世界へ 自然破壊や民族紛争

打破すべき構造は 階級などじゃなく
資本制的欲望を常に 再生産する文化装置

学校や家庭での生活実践は 市場原理を当然視させる
資本主義はイデオロギー化する

資本主義 その文化装置を一つづつ解明していこう
そして 僕らは解放されるだろう
解放の神話から
いつの日か

主体的な行為 なんてありえない
僕ら自身の欲望がすでに 資本主義を内在化してるから

近代世界に 領主も地主もいない
だけど代わりに資本主義に 僕ら自ら従属してる

近代の強大なヘゲモニー 暴き出す試み始めよう
そして僕らは解放されるだろう
解放の神話から
いつの日か

当時「ポストマルキシズム」という思想にハマっていたナメキが、その辺を臆面もなく歌った啓蒙ソング。後になって聞くのがつらいのはこういう曲である。
そういえば、トミーが教条的マルクス主義をうたった「アカのバス」を、ポストマルキシズムの立場からリミックスした曲も作ったっけ。
詞/曲:ナメキ / 1997年
ねこみたいにひげが のびてきたなら
おさかなたくさん 食べれるかな
雨降り街の 雨降りねこに
今日はなりたい気分です

だけれどもかえるの天気予報では
あしたはお陽さま会えるはずさ

食べないたまごいくつもゆでる
いまはそんな気分です
でもお天気ねこのあしおと
ほら気がつけば 雨もあがってる

まあるいどんぐりを探しに行こう
ポケットに入れたら音がするよ
雨降りねこがお外をみてる
僕はどこにも行けないの?
でもお天気ねこのあしおと
ほら気がつけば雨もあがってる

テクノポップだった原曲を、ギターとベースで弾き直したもの。
原曲の印象をさらに変えたいと思い、リズムはスウィングさせたのだが、聞いての通りこれは失敗だった。
あとこの時期、何の影響を受けたのか、やたら鼻にかけて歌っている曲が何曲かあるが、タイムマシンがあれば「やめろ、目をさませ」と当時の自分を平手打ちしたいところである。
詞/曲:魚紳さん / 編曲:ナメキ / 1997年
人は誰でも 未知の世界にあこがれ
旅に出るのさ たったひとりで
時には人生 悲しみにぶつかり
時には青春 霧の中さまよい
泣くこともあるけれど
そうさ 心の星を見つめて
旅人は歩いてゆくだけさ

人ならば 誰だって 未知の世界にあこがれる
いつの日か 旅立って たったひとりで歩き出す

「時には人生 悲しみにぶつかることもある……」
「時には青春 霧の中さまようこともある……」

オレはオマエを 未知の世界へいざなう
旅は続くぜ もっと遠くへ
昨日の安らぎ 川原にポイ捨て
明日の希望を 池の中手探り
やぶ漕いで 傷だらけ
そうさ 激しい川の流れに
逆らって痛い目みるだけさ

小学生の頃のナメキに多大な影響を与えた「釣りキチ三平」。巨大生物というと脊髄反射的に「2メートル」という単位が出てきてしまうのも、釣りキチ三平によって刷り込まれた知識である。
ここでは「釣りキチ三平」の始まりの歌を、放送されていない2番の歌詞も収録する形で完全カバー。曲の中盤にイエスのようなプログレ展開があるのも、多くのリスナーにとってははじめて知る事実ではないだろうか。
詞:ありよっち / 曲:ナメキ / 1998年
咲いたばかりの たんぽぽの花
風に吹かれて ゆらゆらゆれる
空の広さを 確かめるように

ずっとここまで 歩いてきたけど
なぜか答えが 見つからなくて
街の中 人ごみに まぎれこみました

ふりむけば はしゃいだ日々が
いつだって むかえてくれるけど
過ぎ去った月日と 夢をくらべて
古い唄 くちずさみながら 少し涙こぼしました

壁にもたれて 空を見上げる
名も知らぬ 星ひとつ輝いてました

あした晴れたら海であそぼう
雨が降ったらねことおひるね
本当は自由に決めていいはず

目の前の扉のカギを
ポケットの中探っていたけれど
暖かい陽射しを浴びるには
屋根のない道のかたすみにそっと咲くことと知った

咲いたばかりの たんぽぽの花
風に吹かれて ゆらゆらゆれる
空の広さを 確かめるように――

はじめはこういうギターポップとして作られていた「たんぽぽ」。なんかいまひとつで、結局アコギ以外全部捨てたものが「極限4.6」収録の最終テイクとなった。
「ミックスは引き算」というのは合宿評論家、ギンマット・E・テンバーの言葉だが、まさしくその通りである。
詞:ありよっち / 曲:ナメキ / 1998年
東の空が 白く白く白く変わる
そしてあたし ゲームやめてふとんにくるまる
(ダラダラと生きる) めざまし止め
(ダラダラと生きる) 授業きょうもサボる
(ダラダラと生きる) だって眠いから
それがあたしの都合

チャイムが鳴り 留守電が答える
でもあたし まだ夢の中……

― 逃すなチャンスを……
― 花は枯れたよ……
― ふるさと捨てたっ!

いつの間にか 夜もふけてる
ちょっとだけ 借りたまんが続き読みたい
(ダラダラと生きる) 今日の仕事
(ダラダラと生きる) 明日やればいいや
(ダラダラと生きる) だってテレビあるし
それがあたしの都合
残ったおはぎ全部食べちゃえっっ

そのギタリストにしか鳴らせないサウンドというものがある。
クリーム時代のエリック・クラプトンの甘いギターサウンドは「ウーマントーン」と呼ばれた。ブライアン・メイの音は、自作のギター「レッドスペシャル」を、トレブルを回し切ったアンプにつなげたものらしい。ジミ・ヘンドリックスは、ワウペダルの名機「クライベイビー」を、その設計者も想定しなかったセッティングで使っていたという。
そしてこの曲のリードギターも、山口つるをの「激おこキャット」と呼ばれる独特のサウンドである。
このサウンドにあこがれるHM/HRキッズは多いが、いったいどんなエフェクターを、どんなセッティングで使ったらこんな音になるのかは、現在でもわかっていない。
詞:ありよっち / 曲:ナメキ / 1998年
窓辺にゆれる まぶしいひかり
闇夜を照らし つもる粉雪
舞い散る ましろは
吐息を かきけし……
このまま雪のあかりに 溶けてしまいたい
いつかのあのぬくもりは もう帰らない

写真のなかの 夏がやさしい
昔の恋と 忘れたはずさ
差し出す てのひら
溶け出す 結晶……
もいちど生まれ変わって また会いたいな
景色はうつろうけれど ぼくはここにいる

二人の 時間が
めぐって 迷って……
もいちど生まれ変わって また会いたいね
季節はうつろうけれど ぼくは祈っている

春がきても 夏がきても 秋になっても……
笑ってても 夢をみても 恋をしても……
春がきても 夏がきても 秋になっても……
笑ってても 夢をみても 恋をしても……
春がきても 夏がきても 秋になっても……
笑ってても 夢をみても 恋をしても……

ナメキが作っていた歌詞に文句をつけ、自作の歌詞に変えさせたありよっちが、さらにアレンジについても「ギターがうるさい、抜け」と文句を付けてくることによって生まれた別バージョン。後に「おとめちっくグランジ」という新ジャンルを築くことになる。

おまけ

全曲 ダウンロード(zip、163MB)
mp3 (196kbps) × 37曲 + カバー画像(600x600)

CDジャケット ダウンロード(pdf、4MB)
フロントジャケット表・裏 + バックインレイ表・裏

CDレーベル面 印刷用の画像 ダウンロード(pdf、2MB)