ギンマット・E・テンバー(合宿評論家) 1994年3月
 極限――。それは立教大学探検部の歴史を語る部誌の名称である。

 「極限1」は神話であった。60年代に結成された探検部が、暗黒の洞窟を、荒れ狂う激流を、そびえたつ岩を征服し、そこに大学を建て「立教」と名づけるまでの、壮大な叙事詩であった。

 「極限2」は物語であった。ある者は沢を登り、ある者は川を下った。ある者はボートを流し、ある者はラジを爆発させた。ある者は漁船に救助され、ある者は体育会本部に理由のない殺意をねじ込んだ。89年から91年までの、わずか2年間の記録でありながら、そこには合宿という名の夢物語が幾十もひしめいていた。

 そして「極限3」は音楽であった。合宿を乗り切るために、部室の午後の暇つぶしのために、汚れてしまった愛のために、後輩の洗脳のために、そして先輩への感謝のために、次々と作られていった曲たちは、いま一本のテープにまとめられ、我々の前に示されている。まちがいない、これが探検部の歴史を語る三番目の部誌だ。

 意外だろうか? OBは怒るだろうか?
 いや、探検と音楽は似ている。エレキギターを使いはじめたことを批判する古い世代の客に向かって、ボブ・ディランが逆に「ライアー!」と叫んだ瞬間、ロックの歴史は変わった。あの叫びと同じものを、われわれは幾度も先輩に向かって吐き、そしてその度に合宿は進化してきたではないか。

 「極限3」。立教大学探検部が、音楽という新たな探検の地平を切り開いた現場に居合わせた幸運に、私はただ打ち震えるだけである。

詞:部会にて決定 / 曲:ナメキ / 1993年
(イントロダクション:旧部歌)

アマゾン河に落ちれば 二度と這い上がれない
だけど現地の人々は 水を浴びている
「危ない!」
襲いかかるピラニアの群れ これが自然のオキテなのか
人間よ 自然に学べ ウォォォ!

幹部が作った男闘呼汁 エキスのおかげか 暖まる
「先輩ありがとう」「先輩大好き」入ってよかった探検部
「先輩ありがとう」「先輩大好き」入ってよかった探検部
立教!

吸血ヒルに吸われて 仲間が死んだのさ
疲労のためかウトウトと しだしたその時だ
「ん? ケモノのニオイがする!」
思いがけぬ野獣の群れ とっさにオレ ナイフ抜く
人間よ オレに学べ ウォォォ!

幹部の注いだ男闘呼酒 なぜだか泣きながら あと一杯
「先輩ありがとう」「先輩大好き」入ってよかった探検部
「先輩ありがとう」「先輩大好き」入ってよかった探検部

ときめききらめきセンセーション 僕らのハートをわしづかみ
「先輩ありがとう」「先輩大好き」入ってよかった探検部
「先輩ありがとう」「先輩大好き」入ってよかった探検部

「極限3」には曲ごとの解説は付いていなかったため、このコーナーは2017年現在、ナメキが書き起こしているのだが、なにぶん昔のことで思い出せない部分も多い。訂正などあればご一報ねがいたい。
さて、アルバムのトップを飾るこの曲は、今なお脈々と歌い継がれる探検部の部歌である。その当時、下級生の間で「先輩ありがとう」「先輩大好き」の気持ちが薄れてきた感があり、それを危惧した上級生たちが作ったもの。録音したのはたぶん1993年。
詞/曲:関口ヒロト / 1990年
Wow Wow 街に生きる真実(マコト)を知れ
今を生きることの苦しみを知れ
何もかも失って 今日も街をさまよう
抜け殻の男がいるね

過去に生きる俺の弱さを許せ
今日の心なき交わりを許せ
人々に会いたくて 夕闇をまたひとり
さまようのが街の掟
Wow Wow Wow Wow Wow Wow Wow Wow ……
叫べ 俺のギタァ

ずっと持ち続けたプライドもある
すぐに捨てちまったプライドもある
両方できなければ 都会は暮らせないが
この街には後者のみよ
Wow Wow Wow Wow Wow Wow Wow Wow ……
叫べ 俺のギタァ

今日も人が集う夕暮れの街
俺に羽ばたくのかいけふくろう
慣れたはずのさみしさに むせびなく俺のギタァ
君はいま何処の空に
Wow Wow Wow Wow Wow Wow Wow Wow ……
叫べ 俺のギタァ

Wow Wow Wow Wow Wow Wow Wow Wow ……
叫べ 俺のギタァ

関口ヒロトとダイナミックプロ(関口ヒロトの弱い心が生み出した仲間たち。目にはみえない)によるナンバー。「ロック歌謡」とでもいうべきこの昭和テイストあふれる曲調が、いま聞くとなぜか心地よい。たぶん1990年に録音。
詞/曲:関口ヒロト / 1990年
いつものところで待ってて きっと迎えに行くぞ
キミの編んでくれたセーター 寒いけど一枚で行くぞ
ボクらの世界はきっと このまま変わらない
キミがそばにいてくれる それだけでもう何もいらないぞ
Oh No! Oh No! Oh No!? Oh No!
神サマどうもありがとう あの娘をボクにくれて

どこへ行く時も君はお菓子を持ってくる
キミが作ったお菓子だね ほっぺたが落ちそうでもうダメだ
そうさキミなんだ キミがボクのプリンセス
変わらぬ愛を誓うために この指輪をキミにささげたもう
「アクアマリンだぞ」
Oh No! Oh No! Oh No!? Oh No!
神サマどうもありがとう あの娘をボクにくれて

歯ぎしりで目が覚めた夜も
一人街を歩いた朝も
いつだって忘れない キミのその瞳
瞳の中にボクがいる ボクはキミのために歌を歌う
Tu lut lut La ta ta ta, Lu tu tu ...
Touch Touch Touch Touch Lut tat An!

Oh No! Oh No! Oh No!? Oh No!
神サマどうもありがとう あの娘を
ボクに
ボクに
ボクにくれて

恋におぼれている最中の関口ヒロトが作り出した曲。聞いてると、無数のハートマークが真夏のハエのように身体にまつわりついてくる、そんな幻覚に襲われるという意味でハートフルなラブソング。たぶん1990年に録音。
詞/曲:関口ヒロト / 1990年
心の中身をあの街角でさらけ出そう
明日は来ないから もう誰もここにはいないのだから
人ゴミの中逃げていく
あなたが大好きだったのに

この街を捨てるなら どうか私も連れていって
後ろはみないから すべてを明日にかけてみるから
どうしても今ほしいなら あなたに私ごとあげる
吉牛 吉牛 さあ燃えつくせこの命ごと
吉牛 吉牛 ウソだと思うなら Non No Non No!

許されぬ罪ならば この身をけずって償うだけ
どうしたの来なさいよ さびしいなんていいたくないから
未来のために生きていく
できない 疲れすぎたのよ Wow
吉牛 吉牛 さあ燃えつくせこの命ごと
吉牛 吉牛 ウソだと思うなら

「どうしたのボウヤ? あんたにアタイの何がわかるっていうの?
 インチキだらけのこの街、アタイもそろそろ行かなきゃね……」

人ゴミが割れていく
笑っちゃう だって軽すぎるわ 私のスーツケース
マルボロくわえ 振り回して歩く
窓の向こうにサンシャイン
さよなら ひとりつぶやいた
吉牛 吉牛 さあ燃えつくせこの命ごと
吉牛 吉牛 ウソだと思うなら Non No Non No!

ロック歌謡を追及する関口ヒロトがたどりついた頂点ともいえる一曲。当時は気恥ずかしくて素直にいえなかったが、関口先輩、この曲、かなりかっこいいです。
たぶん1990年に録音。
詞/曲:関口ヒロト / 1990年
第一志望の会社けられたアイツ考えた
一度断った所 事情を話し 行ってみよう
男たちはアイツを囲み 不敵な笑みでこういったよ
「ここですぐにお前の持つ内定をみな断るのだ」

アイツ受話器を取って 言われるままに電話した
光る視線の中で 他の内定 みなけった
そしてやつら アイツを囲み 不敵な笑みでこういったよ
「やはりうちはお前のようなやつは要らぬ 帰ってくれ」
Oh No!

今に生きる野獣たち Ho Ho Ho Ho
誰でもない 貴様のことだ No More
No More Show!
No More Show Get!

今に生きる野獣たち Ho Ho Ho Ho
誰でもない 貴様のことだ No More
No More Show!
No More Show Get!

1990年ごろ録音。バブル崩壊前夜のニッポンの、すさんだ就活事情がよくわかる一曲。ダイナミックプロのギターもあらぶっている。
詞/曲:関口ヒロト / 1990年
数えた胸のほくろ からみつく指先がぬれた時
触れてあふれる泉 知られないこの秘密 打ち明けた
悲しみはもう雲をすり抜けて 星の彼方 昨日の幻
大空を駆け抜ける虹のように突然に あなたがそこに現れた

あなたに声をかけた 夏の日のきらめきをいつまでも
明日がそこに見える 鮮やかによみがえる この胸に
待ち続けてたこの出会いだから 愛に祈れ 愛にひざまづけ
まほしくあれ小鳥たちよ けだかくあれ鐘の音よ
この胸の熱い想い
今日もこの胸を焦がす あなたの輝きいつまでも
きっとこの胸はいつも 変わることもなくあなたを求める

あなたの笑顔に見出したよろこびをいつまでも
夢ならここに生きる 離さない 離れない 僕は死なない
見えない夜も明かりを求めて 星の光る丘へと進もう
あなたには伝えたい どうしても伝えたい
この胸の熱い想い
今日もこの胸を焦がす あなたの輝きいつまでも
きっとこの胸はいつも 変わることもなくあなたを求める

見えない夜も明かりを求めて 星の光る丘へと進もう
あなたには伝えたい どうしても伝えたい
この胸の熱い想い
今日もこの胸を焦がす あなたの輝きいつまでも
きっとこの胸はいつも 変わることもなくあなたを求める

今日もこの胸を焦がす あなたの輝きいつまでも
今日もこの胸に誓う どこまでもあなたとともに

歌詞に出てくる「僕は死なない」というのは、当時流行っていたドラマのセリフ。そんなこんなもふくめて、関口ヒロトの世界にどっぷりとつかれる濃厚な一曲。たぶん1990年に録音。
詞:ナメキ(協力:つるを)/ 曲:ナメキ / 1990年
ベイビーお前とハイウェイ
オッケイあなたとランナウェイ
ベイビーいつまでハイウェイ
オッケイここからエスケープ
ハイウェイベイビー ハイウェイダーリン
気分はサイコー
ハイウェイベイビー ハイウェイダーリン
お前はサイコー
ベイビー明日もハイウェイ
オッケイ死ぬまでハイウェイ、ヤッホー!

カリフォルニアまで2000マイル
ふたりのハートもレッドゾーン
ハイウェイ ハイウェイ ハイウェイベイビ-
ハイウェイ ハイウェイ ハイウェイベイビ- Yeh!

ベイビー真夏のハイウェイ
オッケイ冬でもランナウェイ
ベイビーどこ行くハイウェイ
オッケイどこでもエスケープ
ハイウェイベイビー ハイウェイダーリン
俺たちゃノンストップ
ハイウェイベイビー ハイウェイダーリン
俺たちゃ気が合う
ベイビーふたりでハイウェイ
オッケイふたりのハイウェイ

カリフォルニアまで2000マイル
ふたりのハートもレッドゾーン
ハイウェイ ハイウェイ ハイウェイベイビ-
ハイウェイ ハイウェイ ハイウェイベイビ- Yeh!

1990年、4チャンネルのMTRを買って最初に録音した曲。自分の声が二回重ねられるというオドロキから、作った曲も自然とデュエット曲になった。歌詞はツルヲに添削してもらい、余計な虚飾(知性など)をすべて削りとってもらった。
詞:みゆき&ナメキ / 曲:ナメキ / 1990年
Kiss me, touch me, feel me baby
I want you to be taken my magic
Yellow magic, I want you have come
slow down slow down into me

That moon where sleepin' gods dwell
casts down tender light to you
You are shared my eyes with the moonlight
brighter and clearer, oh baby

You will trip to the East with me tonight
Let's set free your body and mind
then we have been under the Chanky moon

Why haven't your pa never told you
the 99th night of Arabian Nights
You only look at the moon
like a blue flower the work of Picabia

You will trip to the East with me tonight
Let's set free your body and mind
then we have been under the Chanky moon

Oh Chanky moon, do it slowly
in case that five elephants propping up
this world wake up under the Chanky moon

探検部員ではないのに、計画書の表紙を勝手に描いたり、部室の壁をプリンスの Around the World in a Day のジャケットのような青空に塗り変えたりと、好き放題していたみゆきが歌う一曲。受験英語で構成された歌詞もおしゃれな1990年の作品。
詞/曲:ナメキ / 1991年
どうして君は高い指輪 そんなにほしがる
指輪 それは良くないものさ
それより俺は歌を君に贈る
だってさ この気持ち 指輪じゃ伝えられない

指輪か歌か ふたつにひとつ
さあ選べ 歌を選べ
歌はつなぐ 世界の子供 ほほえむ子供
それでも君は 指輪を選ぶか
否、選べるのか?

1991年製作。クリスマスに指輪がほしいと言うみゆきに対し、そのような商業主義への迎合を良しとせず、それより自作のラブソングを贈りたいと考えるナメキが作った説得ソング。だがみゆき側も要求レベルを全く下げず、交渉は物別れに終わってしまう。いったいどうなってしまうのか?(次曲に続く)
詞/曲:ナメキ / 1991年
みゆき愛してるよ どこの誰よりも
みゆき愛してるよ 宝物だもの
ボクは星の王子さまにもきっとなれるさ
君が涙ふいて笑って
「キスしてくれたらね、フフ」
みゆみゆみゆみゆみゆみゆき みゆみゆみゆみゆみゆみゆき
今夜君は空飛ぶ恋人さ

さあみゆき、ボクのロケットで宇宙旅行へ連れて行ってあげるよ
しっかりつかまっててね
3、2、1、0、発車! ドドドドド……
「ピピッ、本船ハタダイマ火星ノ横ヲ通過中」
うわあすごい景色だ
あ、前方に小惑星発見! ミサイル発射用意、発射!
ピュー…… ドドーン
ふう、あぶないところだったね
みゆき、どうだい? ボクのロケットの乗り心地は?

みゆみゆみゆみゆみゆみゆき みゆみゆみゆみゆみゆみゆき
今夜君は空飛ぶ恋人さ

みゆみゆみゆみゆみゆみゆき みゆみゆみゆみゆみゆみゆき
今夜君は空飛ぶ恋人さ

(前曲からの続き)けっきょく妥協点として、歌も指輪も贈ることに。
かくしてクリスマスの夜、銀座の浮浪者合宿を途中で抜け、みゆきに指輪を渡したのだが、人体実験のバイトで買ったと自慢すると、なぜかすっごく嫌そうな顔に。
あわててこの曲のカセットを渡したのだが、みゆきの機嫌は直らず、ついには怒って家に帰ってしまったのだった。(次曲に続く)
詞/曲:ナメキ / 1992年
嵐は来た 突然
木が突き刺さる マイ ブロークン ハート
ブラック チャンス! おまえランナウェイ
ブラック チャンス! あの日ランナウェイ
クエッション ナイト!
そうさ オレは 冬のライオン
心いやす場所はないのだ

ドクロのかたちの雲
そう これでもう グッバイ マイ ラブ
ブラック チャンス! おまえランナウェイ
ブラック チャンス! 家にランナウェイ
サンダー ナイト!
そうさ オレは 冬のライオン
傷をえぐれ 激しい滝つぼ

ブラック チャンス! おまえランナウェイ
ブラック チャンス! なぜにランナウェイ
ショッキング ナイト!
そうさ オレは 冬のライオン
愛を忘れ 燃やす魂

(前曲からの続き)なぜみゆきが怒ったのか、さっぱりわからないナメキが、その疑問を歌にした北欧系ハイトーンメタル曲。つるをも「オンナってホントわからないですよねえ」と同情的であり、かき鳴らすギターも悲しみに荒ぶるのであった。
なお「ブラックチャンス」とは、つるをの造語でチャンスの逆、つまり不運のこと。
1992年録音。次の曲に続く。
詞/曲:ナメキ / 1992年
ベイビー お前と過ごしたあの頃は 虹の色も八つにみえた
ハートの色はお前色 だから今でも「アイラビュー」
いま 海は荒れ 波は砕け 海草もちぎれ
聞け 孤独なオレの叫びを 悲しいリフレイン
ラブラブラブラブネバーモア
ラブラブラブラブネバーモア
ラブラブラブラブネバーモア
愛はまやかしさ

ベイビー
赤い風船 種をつけて 冬の空に飛ばしたのさ
届けばいいなメッセージ それは今でも「アイニージュー」
いま 山は裂け 熱いマグマに人々は飲まれ
見よ 俺も泣いているんだ 歌えマリオネット
ラブラブラブラブネバーモア
ラブラブラブラブネバーモア
ラブラブラブラブネバーモア
愛は魔性さ

ベイビー
ふたりのポストが壊れたのは 愛の嵐の季節のせいさ
直せないのはわかるけど だけど今でも「アイウォンチュー」
いま 冬の狩人たちは 動物をいじめ
よせ これ以上罪のないものを苦しめるのは
ラブラブラブネバーモア(アイラビュー)
ラブラブラブアイラビュー(アイウォンチュー)
ラブラブラブネバーモア
ラブラブネバーモア

ラブラブラブネバーモア(アイラビュー)
ラブラブラブアイラビュー(アイウォンチュー)
ラブラブラブネバーモア
ラブラブネバーモア

ラブラブラブネバーモア(アイラビュー)
ラブラブラブアイラビュー(アイウォンチュー)
ラブラブラブネバーモア
ラブラブネバー
ラブラブネバー
ラブラブネバー
ネバーモア

(前曲からの続き)みゆきとの愛が破局したことで、学校の帰りにふと日本海がみたくなって、一週間ほど自転車で旅に出たりと、すさんだ生活を送っていたナメキ。
気がつくと、これまでにきいたこともないような悲しみに満ちた歌ができあがっていた。部室でギターをかき鳴らすナメキ。
そこに、いつからか後ろに立っていた関口先輩が声をかける。「……ナメキ、その曲、3番のサビ前にAsus4を入れたら、メジャーに転調できるんじゃないか?」「せ、先輩……!」
そうしてナメキは悲しみから立ち直ったのであった。なんでも1992年の出来事だという。
詞/曲:つるを&ハルヲ / 1993年
「OK、テイク5行ってみようか」
「OK、だけどオレのバンバーガー残しといてくれよ」
「毛虫も食わねえぜ」
「ちげえねえ」
「あーはっはっはっはっはっ」
「あーはっはっはっはっはっ」
「あーはっはっはっはっはっ」

家を飛び出して 都会へ出てきたぜ
ギターを抱えて 夢を追いかけて
「ワンツー」「オーライ」
お前を残して お前を忘れて

マクドナルドにも はじめて入れたぜ
メニューが多くて 水を頼んだぜ
「水をくれ」「オーイェイ」
お前の涙と 同じ味がした

眠れぬ街で夜をさまようオレ
お前に似たオンナをむさぼる
ここはどこだ オレは誰だ お前はどこだ
ここはどこだ オレは誰だ お前はどこだ

秘境イマリ出身のつるをが、未来都市TOKIOに出てきた時の衝撃を歌った曲。冒頭、手違いで録音されてしまったスタジオでの会話からは、当時のなんともアメリカンなふいん気が伝わってくる。たぶん1993年の録音。
詞/曲:ナメキ / 1993年
1年は2回
2年は3回
3年は4回
4年は5回
学年+1回までオッケー
長期の遠征もこれでオッケー
だけどふいて丸めてポイ捨ては No Non No!
動物にとってこれはすごい毒なんだゾ
関口先輩 込谷先輩 どうもありがとう「ディユース!」
こんな部則を 前例を 僕らに
僕らに 私たちに くれて
くれて

合宿も後半に入ると、ふいにやぶの中に姿を消し、数分後、上気した顔ですっきりと戻ってくる部員が増えてくる。そのような男子特有の現象に、野生動物保護の観点から一定のルールを課したのがこの部則である。たぶん1993年録音。
詞:トミー / 曲:ナメキ / 1993年
悲しいね いま オレのハート
逃げていく まるで真夏の蜃気楼
四角いリング 狂った野獣が待ち受ける
だけどオレは行く お前がいくら止めても
ひびけほら オレの歌ロケンロール
「ララバイ」
お前の胸に誓うのさ この愛を永遠に
お前もオレに誓うのさ この愛を受けとめると

くちびるを いま むりやりうばう
おどろくな これがオレのやりかた
たたかう日々にやすらぎ教えてくれた人
リングを忘れ 今はお前抱きしめてたい
ひびけほら オレの歌ロケンロール
「ララバイ」
お前の胸に誓うのさ この愛を永遠に
お前もオレに誓うのさ この愛を受けとめると

男としての生き方、女性の愛し方などを、トミーが熱く歌い上げた一曲。何一つ実体験に裏付けられていないアドバイスが身にしみる。たしか1993年録音。
詞:つるを / 曲:ハルヲ / 1993年
吹雪舞う 冬の山小屋で
君は凍り付いていたね
オレの熱く火照った体で
早く・強く・熱く 暖めてあげよう

白い雪と桃色の君
赤く燃える俺の血潮
すべて忘れて とろけた体を
早く・強く・熱く 混ぜ合わそう
「おびえないで」(ウォンチュー)
「近寄らないで」(ドンチュー)
「早くおいでよ」(ウォンチュー)
「わたし怖いの」
すべてを忘れ 燃え上がるのさ

もれた息と熱い汗が
雪を溶かしつくすほど
君のぬれた 体の中まで
もっと・深く・深く 感じあおう
「怖がらないで」(ウォンチュー)
「怖いに決まってる」(ドンチュー)
「燃え上がろうぜ」(ウォンチュー)
「熱くなりたいワ」
ふたりでもっと 燃え上がるのさ

「ウルフィーナイト」とは「狼になる夜」のこと。つるをのような上級者にしか使いこなせない本物の英語である。ボーカルがハルヲ、ベースが坂ティー。たぶん1993年に録音。
詞/曲:つるを / 1993年
エメラルド色した
特別のこの光(この光)
お前だけにみせたい
他のヤツには知られずに
この火をつくるのは難しい
777回のポンピング
「夕日をバックにこの火をつくろう ふたりで一緒に」

そんなセリフはオレにはいえない
すべて 夢かマボロシだったさ

瀬戸内海の小豊島合宿で、「ラジを777回ポンピングすると、エメラルド色の炎が出る」というデマに踊らされたつるをが、本当に実行してラジを爆発させたという故事に由来する曲。その前日、聖徳太子のイトコ聖太子の石棺を山の中で発見、墓荒らしをしたタタリで爆発したという説もあるし、われわれに近づいてきた無口な島の若者、サモハンがラジに何か工作しているのを見たという者もいる。
たしか1993年に録音。
詞:高倉サトコ18歳 / 曲:つるを / 1994年
目と目があったとき ハートがキュン!
もしかして? そうよ恋なのよ
Oh Darling, Ok Darling ここだけのナイショよ

言葉に出したらこわれちゃう
いくじなし 私のこのハート
Oh Darling, Ok Darling ここだけのナイショよ
だから歌うの
ほかのやつらには わからない
アイツだけに伝えたい
Oh my sweet boy いつまでも
Oh my sweet boy どこまでも
Oh my sweet boy アイツにくびったけ

ほかのやつらには わからない
アイツだけに伝えたい
Oh my sweet boy いつまでも
Oh my sweet boy どこまでも
Oh my sweet boy アイツにくびったけ

当時1年生だった高倉が、きゅんきゅんするような歌詞と歌声で、男たちをメロメロにした伝説の一曲。たぶん1994年に録音。
詞/曲:ナメキ / 1994年
そうさオレはトリさ 羽ばたけないトリさ
寝たのは4時過ぎ 起きたのは昼過ぎ
「ねえ、タバコくんない? え、ダメ? じゃあいい」

なんかいいことないかな でも今日もやることがたくさん
このままじゃダメだ そっとつぶやく言葉はヘルプミー
オートバイ まやかしの翼
オートバイ すべてをかき消せエンジン音
「ブルン……ブルン……ブルルルルルー……」

だからオレはトリさ 街を走るトリさ
ノラ犬がいた にごった目でオレを見た
「違うって、オレはね! ……まあいいや、わかったよ」

就職もちゃんとして 卒業もするぞ 踏むな二の舞
でもいいや……いやダメだ! ……でも眠い
とまどいのメリーゴーランド
オートバイ まやかしの翼
オートバイ 今日が終われば明日
「ブルン……ブルン……ブルルルルルー……」

オートバイ まやかしの翼
オートバイ オレだけの翼
それは誰も知らぬ
オレの心知らぬ
オレはひとり泣いた
メットの中で泣いた
オレは オレは オレは オレは
トリさ

トリのすさんだ心象風景を描き出した曲。トリに拒絶されたためナメキ自らが歌ったが、あのトリの感情の死んだ声を再現することはあたわず、やっぱりトリに歌ってもらえばよかったと、今になって後悔がたえない。
録音は1994年だったと思うが、「ねえ、○○くんない? え、ダメ? じゃあいい」というセリフを鈴木先輩が使っていた場面も記憶にあるので、曲そのものはもっと早く完成していたのかもしれない。
詞/曲:ナメキ / 1994年
がっかりするなよ トリとハルヤマ
いつかはなれるさ 立派な社会人
オレのように
Come On On On カッパ
Let's Go Go Go カッパ
Hard Days and Nights カッパ
飲めハルヤマ

どうして泣くのか トリとハルヤマ
こっそり集めたお前の涙
オレが飲み干す
Come On On On カッパ
Let's Go Go Go カッパ
Hard Days and Nights カッパ
飲めトリトリ

後に「就職氷河期」と呼ばれる大暗黒時代が始まった1993年。
意識の高い学生でも就職に苦労する中、コミュニケーション能力が0.02くらいしかないハルヲやトリが面接に勝ち残れるはずもなかった。落ち込む二人にかける言葉が見つからず、代わりに贈られた歌がコレ。1994年録音。
詞/曲:つるを / 1994年
 タッタッタッタッタッタッ……
「待ってくれー」
 プップー!
「オイ危ないぞコラァ!」
「ハア、ハア、ハア…… あーやっと追いついた……
 わすれもんだよォ!
 はい、オレのまごころ。」

灯りがないこの通りを 毎晩ふたりで歩いたね
終わりがみえない はじまりも知らない
自由な道 不思議な道

坂を登れば下り坂 まるでふたりの道のように
長いけど短い 広いけど狭くて
あやしい道 危険な道
自由通りに さよならを叫ぼう ふたりの道に
もう二度とふたりきりでは歩けないと

自由通りに 別れを告げよう ふたりの道に
いつの日か終わりが来るのはわかっていたと

つるをのリアルな体験に基づく曲。Aメロで「終わりがみえない」と歌っておきながら、サビでは「終わりがくるのはわかっていた」と矛盾したことを平気で言い出す、そのあたりの考えの浅さまで含めて、リアルなつるをを感じられる曲である。たぶん1994年録音。
詞/曲:つるを / 1994年
黒猫が通る オレの前を通る
夢にも出る 毎晩出る
黒猫は不幸のしるし デビルだって真っ黒さ
ブラックキャット ホワイトキャット
だけどお前たち 迷信を信じるな
オレが黒猫を白猫にしてやるぜ

ブラックキャット ホワイトキャット
だけど迷信を信じるな お前たち
オレが黒猫を白猫にしてやるぜ

大学生の頃、真夏の炎天下を歩いていたら、ブラック猫が塀の上をこちらに向かってよろよろ暑そうに歩いてきた。そしてすれ違うその時、ブラック猫は確かに人の言葉で「フー、アチー」としゃべったのであった。「え!? 猫なのに!?」あわてて振り向いたが、ブラック猫は塀の向こう側へ逃げた後だった。
この実話からもわかるように、ブラック猫は古来より魔性のものと恐れられてきた。この曲でつるをは、ブラック猫を不幸のしるしとする迷信を否定、代わりにホワイト猫を幸せのしるしとする新たな迷信をリスナーに提案する。たぶん1994年録音。
詞:ハルヲ / 曲:ハルヲ&ナメキ / 1994年
夕べ電話で 彼女に別れを告げた
ふるえる指の先が 白い吐息にゆれてた
おまえの気持ちが 最後までわからなかった
ふたりの思い出なんて まるで夢かまぼろし

お前くれたパジャマ 御嶽山で燃やした
だからいまサヨナラをうけとめて ベイビー
泣かないで ほほえんで 終わろうよ
グッバイテレフォン ベイビー

プルルルル…… プルルルル…… ガチャ
「もしもし、ハルヤマです。グッバイ」ガチャッ

おまえの言葉を 最後まで信じたかった
今日からは オレのことは 忘れてほしい
一番大事な おまえだけしかいなかった
だけれど俺たちの 長い旅は終わった
俺があげた指輪 屋根の上に捨ててよ
そしていま 俺たちのサヨナラは ベイビー
星空の彼方まで響くだろう
グッバイテレフォン ベイビー

ハルヲの実体験に基づく曲。つらすぎてこれ以上作れないというハルヲをムチ打ちながら最後まで作ってもらった記憶がある。
しかし極限3収録のラブソングは、なぜどれもこれも茶番劇が挿入されるのか。「そういう時代だった」というほかあるまい。1994年のことである。
1994年
0:00 ①目覚め
詞:つるを / 曲:ハルヲ
今から約2000年前……。そう、あれは紀元前207年前のことだったかな? イスラエル王国は、大アッシリア帝国によって滅ぼされた。その後、ユダヤ人たちの消息はまったくわかっていない。この失われたユダヤ十二部族のナゾは、世界史上最大のナゾとされている。 が、しかし、わが国日本にも、その失われたユダヤ十二部族の一派が渡来していたという……。


0:41 ②メインテーマ1
詞/曲:つるを
作られた歴史を捨てて 真実の歴史を歌う
よみがえれユダヤの血潮 目を覚ませ日本人
I am the, you are the Japan=Jewist
I am the, you are the Japan=Jewist
「よみがえれ!」

イスラエルから消えたとされる十二部族はどこへいったか
二千年前中国にはユダヤ人の始皇帝がいた
その後迫害 流浪の民のユダヤ人は朝鮮へ逃げ
日本へやってきた 神の国日本へ メシアを探して
そうとしか考えられない
そうとしか考えられない

常識をくつがえせほら 真実の光を当てて
燃えたぎれユダヤの血潮 立ち上がれ探検部
I am the, you are the Japan=Jewist
俺たち君たち Japan=Jewist
「信じよ!」

俺は昔イスラエルでユダヤ人と間違われたぜ
イスラエルには日本しかない桜の花が咲いていたんだ
嘆きの壁に天皇家の菊の御紋が彫ってあったぜ
日本人=ユダヤ人 やっぱりユダヤ人 これだけの証拠で
そうとしか考えられない
そうとしか考えられない

作られた歴史を捨てて 真実の歴史を歌う
よみがえれユダヤの血潮 目を覚ませ日本人
I am the, you are the Japan=Jewist
I am the, you are the Japan=Jewist

ハレルヤ! ハレルヤ!
ハレルヤ ハレルヤ ハレルヤ!
ハレルヤ! ハレルヤ!
ハレルヤ ハレルヤ ハレルヤ!


4:57 ③intermission
曲:ナメキ


5:21 ④メインテーマ2
詞/曲:つるを / 編曲:ナメキ
イスラエルから消えたとされる
十二部族はどこへいったか

日本へやってきた
神の国日本へ
メシアを探して……


6:10 ⑤ヨルダン峡谷
曲:ナメキ


8:22 ⑥intermission
曲:ナメキ


9:20 ⑦オルクベッキ
詞/曲:つるを
בְּרֵאשִׁית בָּרָא אֱלֹהִים אֵת הַשָּׁמַיִם וְאֵת הָאָרֶץ׃
וַיֹּאמֶר אֱלֹהִים יְהִי אֹור וַיְהִי־אֹור׃...


11:12 ⑧メインテーマ3
詞/曲:つるを / 編曲:つるを&ハルヲ
I am the, you are the Japan=Jewist
I am the, you are the Japan=Jewist


11:47 ⑨古代史ブルース
詞/曲:つるを
生活にあきたら 外へ飛び出そう
古代史のあしあと 探してみようぜ
古代史大好き 一度はいかが

ユダヤのあしあと どこかにあるぜ
うそだと思わず 信じてごらん
信じりゃ見つかる 古代史ブルース


13:14 ⑩メインテーマ4
詞/曲:つるを / 編曲:つるを&ハルヲ
イスラエルから消えたとされる
十二部族はどこへいったか
日本へやってきた
神の国日本へ


15:04 ⑪天空の墓碑銘
詞:つるを / 曲:ナメキ
וְנָהָר יֹצֵא מֵעֵדֶן לְהַשְׁקֹותאֶת־הַגָּן וּמִשָּׁם יִפָּרֵד וְהָיָהלְאַרְבָּעָה רָאשִׁים׃
שֵׁם הָאֶחָדפִּישֹׁון הוּאהַסֹּבֵב אֵת כָּל־אֶרֶץ הַחֲוִילָה אֲשֶׁר־שָׁםהַזָּהָב׃
וּזֲהַב הָאָרֶץ הַהִואטֹוב שָׁםהַבְּדֹלַח׃
וְאֶבֶן הַשֹּׁהַם׃וְשֵׁם־הַנָּהָר הַשֵּׁנִי גִּיחֹון הוּא הַסֹּובֵב אֵת כָּל־אֶרֶץ כּוּשׁ׃
יהוה... יהוה... יהוה...
אדם... פְרָת... פְרָת׃...
וַיִּקַּח יְהוָה אֱלֹהִים אֶת־הָאָדָם וַיַּנִּחֵהוּ בְגַן־עֵדֶן לְעָבְדָהּ וּלְשָׁמְרָהּ׃
וַיְצַו יְהוָה אֱלֹהִים עַל־הָאָדָם לֵאמֹר מִכֹּל עֵץ־הַגָּן אָכֹל תֹּאכֵל׃
ציון... ציון... וּמֵעֵץ... וּמֵעֵץ...
יהי אור! יהי אור!

「日本人・ユダヤ人同祖論」を、つるをが心ゆくまで展開する、16分超のプログレ超大作。
タイトルの JAPAN=JEWIST は、「Japan と Jew がイコールで結んであるので『日ユ同祖論』の意味、それに ist がついて『日ユ同祖論者』ってことですよ」(つるを談)。
サビの「そうとしか考えられない」は、常識や合理性よりも大切なものが、時に探検には必要なことを思い出させてくれるパワーワードである。
製作は1994年。カセットテープのMTRしかない時代に、どうやってこんな超大作を作ることができたのか、関係者一同もはっきりとは思い出せない、ある意味オーパーツ的な作品でもある。

おまけ

全曲 ダウンロード(zip、118MB)
mp3 (196kbps) × 24曲 + カバー画像(600x600)

CDジャケット ダウンロード(pdf、3MB)
フロントジャケット表・裏 + バックインレイ表・裏

CDレーベル面 印刷用の画像 ダウンロード(pdf、6MB)