ヘンテコ自販機めぐりの旅

南京町の東の入口にあるパンダの自販機
私たちが「自動販売機」と聞いて思い浮かべるのは、たぶん下の写真のようなものでしょう。売っている商品も、機械の大きさも形も、みんな似たり寄ったり。個性ゼロです。
ちなみに下の写真は、うちの学生なら一日一回は視界に入っているはずの自販機ですが、わずかに見える石垣を手掛かりにしなければ、これがどこにあったものかなんてわからないでしょう。自販機なんてそのくらい個性がないのが普通です。

ですが、時には個性ありすぎのヘンテコな自販機に、私たちは出会ってしまうことがあります。お店と違い自販機なんて地図には載っていないので、どこにどんな自販機があるのか、あらかじめ調べることはできません。ヘンテコ自販機との遭遇は、いつだって偶然でたまたまの「出会い」なのです。だからこそ、ヘンテコ自販機は楽しい。
私が出会ったヘンテコ自販機をいくつかご紹介します。
●だしの自販機

阪急茨木市の駅前にありました。ペットボトルに入っただしがずらりと並んでいます。スーパーでは見かけない「だし道楽」という商品で、1本700円もします。
なぜだしを自販機で……? 目撃した人みんなが抱く疑問にお答えします。
この自販機は、広島県の江田島にある「二反田醤油」が設置しているものです。二反田醤油は、ボトルの中に焼いたあご(トビウオ)、あるいは昆布、あるいは焼きあごと宗田節(ソウダガツオで作る高級かつおぶし)をそのままのかたちで入れた高級万能調味料「だし道楽」を主力商品にしています。
このこだわりのだしが「24時間いつでも購入」できるよう、二反田醤油はだし道楽をスーパー等には出荷せず、専用の自販機を各地に置いて販売しているそうです。自販機は北海道から沖縄まで全国に設置されています。
前を行く者も後ろを追う者もいない、こんな独特な販売戦略は、製品によほどの自信がなければできないことでしょう。そう考えるとこのだし、めちゃくちゃおいしそうです。今度自販機を見つけたら買ってみようと思います。
●ディズニーの自販機

ディズニーの公式ショップである「ショップディズニー」が設置しているオリジナル自動販売機。キャラクターのぬいぐるみが売っています。「ゲストのみなさまに身近でいつでもアクセスできる環境を実現するため」というコンセプトから設置されたそうです。
……という割には全国に10台しかありません。しかも、そのうち8台が東京周辺。がっかり。でも残り2台は、守口のイオンモールと伊丹のイオンモールにあります。
●ガチャガチャの自販機

大阪メトロ御堂筋線梅田駅の北改札付近にあったコレ。一見普通の自動販売機に見えますが、じつはガチャガチャなんです!

タカラトミーアーツのガチャガチャブランド「パンダの穴」の自販機です。ミッキーマウスやトイ・ストーリーのウッディなどのフィギュアのほか、若手のクリエイターが作った少し変わったおもちゃなどをガチャガチャとして販売しています。
こういう自動販売機型のガチャガチャは「BOXガチャ自販機」というそうですが、そのワードで検索すると、ゲームセンターなどにある1000円のガチャガチャの機械が出てきます。梅田駅にあったコレはもっと普通の自動販売機っぽくって、その普通さが普通じゃありません。実際、まだ台数も少なく、レアな自販機だそうです。見つけたらとりあえずお金を突っ込みましょう。
●サーティワン・アイスクリームの自販機

たくさんの種類の中から好きなアイスを選んで組み合わせられる楽しいアイスクリームショップ、サーティワン。
名前がよく似た「セブンティーン」というアイスの自販機はあちこちで見かけますが、サーティワンは実店舗しかないだろうというそこのアナタ! 実は「サーティワンの自販機」というものも存在するのです。
とはいえかなりのレアもの。関西にはたったの2台しありません。そのうちの1台が神戸・南京町にあります。これは行くしかないでしょう!
ちなみに「サーティワン」というのは日本だけの呼び名で、本国アメリカでは「バスキン・ロビンス」と呼ばれています。バスキン・ロビンスが日本進出した時、「一ヶ月、31日、毎日違う味を楽しめる」ということで「サーティワン」という名前にしたそうです。日本に合わせたアレンジでしょうか。
そう考えると、サーティワンが自販機になってしまったのも、自販機大国ニッポンに合わせたアレンジなのかもしれません。
●セブンティーンアイスの自販機

サーティワンの自販機のところで、ちょっとディスり気味に名前を出してしまったセブンティーンアイスの自販機。お菓子メーカーのグリコが1983年に立ち上げた、自販機専用のアイスのブランドです。
「セブンティーンアイスの自販機なんてどこにでもある。ちっともレアじゃないぞ?」というそこのアナタ! そう! ちっともレアじゃない! どこにでもある! それもボーリング場とか、スイミングスクールとか、通学に使っていた私鉄の駅のホームとか、なんかこう微妙な場所ばかりに……。
でも、だからこそセブンティーンアイスの自販機は、みなさんが小中高と過ごしてきた日々の記憶の中に、分かちがたく埋め込まれているのではないでしょうか。私の場合、セブンティーンアイスと聞くと、プール上がりの塩素のにおいが一緒に浮かんできます。
セブンティーンアイスの自販機が見守ってきてくれた私たちの成長の日々。それは一人ひとり違う、めっちゃレアなものなのです。(ドヤァ ...)
ちなみにセブンティーンという名前は「17歳」を意味して付けられたそうです。ぴったりの命名ですね。
もうひとつちなみに、大阪日日新聞の記事によれば、セブンティーンアイスの自販機は全国3万台を目指して拡大中だそうです。がんばれセブンティーンアイス! もっと増えろ!
●格安自販機

「これ4号館の自販機じゃないか! どこがレアなのか? セブンティーンアイスの紹介では屁理屈をこねてたが、やはりネタ切れなのだろう」というそこのアナタ! まあ聞いてほしい。
自販機の飲料の「標準価格」は、缶が130円でペットボトルが160円という感じですが、そんな値段を付けている強気の自販機は、JRのホームとか、映画館の中とか、他に購入場所の選択肢がないような場所にしかありません。街角にある自販機はたいてい100円から、あるいはこの4号館の自販機のように80円から商品ラインナップをはじめています。
この状態を私たち関西人は当たり前だと思っていますが、全国的には当たり前ではないようです。東京から知り合いが来た時、道端の自販機がどれも100円、80円であることにひどく驚いていました。東京にも格安自販機はあるそうですが、こんな密度で格安自販機ばかりがあるのは関西だけみたいです。
日経新聞の記事によると、関西には中小零細の飲料メーカーが多く、それらがコカ・コーラやキリンなどの大手メーカーと戦うため、15~20年ほど前、価格を100円に下げた自販機を設置したそうです。コイン1枚というインパクトから、それがめちゃくちゃ売れました。そうすると大手メーカーも関西では値段を下げざるを得ません。すると中小メーカー側もさらに値段を下げて対抗します。こうして関西では格安自販機があふれることになったのだそうです。
ちなみに上の記事に出てくる「賞味期限切れの飲み物を10円で売っている」自販機というのは、西成のあたりに多数設置されてるようです。さすがに西成は怖くて自分では調べに行けなかったので、Jタウンネットの記事から写真だけ借りてきます。


●終わりに
以上、神戸・大阪で私が見つけたヘンテコ自販機を紹介してきました。いかがだったでしょうか。
ヘンテコな自動販売機はまだまだ全国にあるようです。畑で収穫された野菜や、朝採れたての卵を売る自販機、24時間ケーキやクレープが買える自販機、うどんやそば、ラーメンなどができたてで食べることのできる自販機などなど……。
コロナが落ち着いたら、ヘンテコ自販機との出会いを求めて、知らない街をぶらぶら歩いてみたいですね。
焼きあごがまるまる入った「だし道楽」
自販機は全国に設置されている
指導教員のコメント
私は4号館の自販機で、なぜかしょっちゅう当たりを出すのですが、人生で他に使うべき大切な運を、こんなところでムダに消費している感があります。